ペットは「物」でも「命あるもの」|かわさき高齢者とペットの問題研究会通信2024年5月号(33号)
川崎市公認の登録ボランティア、かわさき犬・猫愛護ボランティアの中から生まれた「かわさき高齢者とペットの問題研究会」より、ニュースレターをお届けします!
今回は、ペットに関する法律と虐待についてのお話です。
日本ではペットは「物」
ニュースレターの中で、日本では「ペット(を含む動物)は物」として扱われることを何度かお伝えしました。
民法には「土地およびその定着物は不動産とし、それ以外の物はすべて動産とする」とあり、そのためペットは飼い主が所有する動産に当たると解釈されるのです。ちなみに、人は憲法で基本的人権を認められており、動産にはなりません。ペットに人権がないため、ペットに関する責任の所在は法的に所有者(飼い主)にあります。
特にペットの虐待の現場で、「ペットの所有権」が高い壁となって問題解決の道に立ちはだかり、歯がゆい経験をされた方も多いでしょう。命の危機にある場合なら、なおさらです。
共倒れと言える“虐待”
一方、日本には「動物愛護管理法」という法律が定められています。動物を単なる「物」ではなく「命あるもの」としてはっきり区別し、悪質な違反者への罰則も厳しい方向に進んでいます。しかし、当研究会が直面する現場の多くは、故意の悪質な虐待というよりも、経済的、身体的、あるいは認知能力の低下等の問題で、ペットを適正に飼育することが不可能となっている、独居の高齢者です。むしろ、飼い主とペットが、共倒れに近い状況と言えるでしょう。
気づいた時には問題が重篤化し、「所有者の壁」にはばまれるような事態を招かないために、早期発見と問題の共有、判断が求められます。
豆情報:動物虐待の定義
「動物虐待」とは、殴るなど身体的な暴力を加えたり、苦痛や恐怖を与えたりするような行為だけではありません。
食事や健康管理などの必要な世話をしない、劣悪な環境に放置するなど、いわゆる「ネグレクト」も虐待にあたり、実はこちらの方が身近に起きています。
かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2024年5月号(33号)
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