ペットをめぐる決断は早めに!|かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2023年8月号(24号)

川崎市公認の登録ボランティア、かわさき犬・猫愛護ボランティアの中から生まれた「かわさき高齢者とペットの問題研究会」より、ニュースレターをお届けします。


今回は、研究会が関わった実際のケース(CASE 16)をご紹介します。


希望通りにペットを託せない!

今回は、持ち家で1人で暮らす高齢女性のケースです。女性は、10匹ほどの猫を家の中で世話していましたが、認知症と疾患のため入院を必要とする状況になりました。

女性は複数人の親族のうち1人を養子にして、財産と猫を相続させることを希望していました。そこで行政書士が介入して指定された親族のもとに伺ったところ、相続は拒否したいとのことでした。

当研究会にご相談いただいたものの、話が二転三転。

時間がかかっている間にご本人の認知症が進行したため、決着がつかないまま施設に入居することになってしまいました。


早い決断で混乱を避ける

結局、猫は保護団体に引き取られることになりました。女性はもともとボランティア活動に熱心だったため、支援者がおられたのも幸いでした。

しかし、高齢者が新たな決断をすることが困難になり、その間に心身の状況も後退し、問題が周囲を巻き込んで長期化する現実を痛感しました。

「万が一の時に、ペットをどうするか」をまだ先のことと思わず、少しでも早く決断し、周囲と情報を共有しておくことを強くおすすめします。

後になって混乱が生じないように、誓約書や遺言書をご本人の手で作成し、相続に関して相手の承諾をもらっておくこともお忘れなく。命の引継ぎは、飼い主の最後の愛情です。


豆情報:ペットに残す財産

現在の日本の法律では、「ペットに財産を残すこと」はできません。でも、「ペットのために財産を残す方法」は、いくつかあります。

遺言書等を作成する際には、自分に合う方法を選んで、確実にペットの将来を託してください。当研究会でも助言が可能です。


かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2023年8月号(24号)

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掲載事例については、プライバシー保護の観点から個人が特定されないように配慮して構成しております。

かわさき高齢者とペットの問題研究会

「人の福祉」と「動物の福祉」をつなげて  かわさき高齢者とペットの問題研究会は川崎市内における高齢者とペットの問題への助言・サポートを行っています