ペット飼育不可物件で露呈した問題|かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2023年11月号(27号)

川崎市公認の登録ボランティア、かわさき犬・猫愛護ボランティアの中から生まれた「かわさき高齢者とペットの問題研究会」より、ニュースレターをお届けします。


今回は、研究会が関わった実際のケース(CASE 17)をご紹介します。


黙認されてきた無断飼育

今回ご紹介するのは、ペット飼育が不可の住環境で飼育が黙認されてきた結果、起きた問題の例です。

ペット飼育不可の市営住宅で、共に高齢の母娘がお二人で、複数匹の猫と共に住んでおられました。ところが建物の老朽化で建て替えとなり、「新しい住宅に入居するには、猫を全部手放すこと」と、通告を受けたのです。

区が介入することもできず、悲嘆にくれた母娘に相談を受けた近所の方から、当会にご連絡いただきました。

この件は、特殊な例ではありません。賃貸・分譲に関わらず、規約違反の飼育が黙認されていた挙げ句に、トラブルが発生して退去問題に発展する案件は多いのです。


規約順守をベースに再構築も必要か

この件では猫の譲渡希望者も現れましたが折り合わず、さらに対応が遅れました。最終的に、暫定措置として入居し、飼育数を増やさず譲渡の交渉を進めることになると思われます。

法律上明確となった「ペットの終生飼養の責任」と、「ペット飼育の住居規約」とのはざまで、円満な解決は現状では困難です。

生活の基盤である住居と、ペットの命に関わる問題であることを、飼い主はもちろん、周囲もしっかり認識することが、なにより重要です。

同時に、特に公営住宅の入居者の現実に即した、ペット飼育条件の再構築が必要な時期が来たのではないか、と考えさせられる案件でした。


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かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2023年11月号(27号)

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かわさき高齢者とペットの問題研究会

「人の福祉」と「動物の福祉」をつなげて  かわさき高齢者とペットの問題研究会は川崎市内における高齢者とペットの問題への助言・サポートを行っています