法律と人・動物福祉の狭間で|かわさき高齢者とペットの問題研究会通信2025年9月号(49号)
川崎市公認の登録ボランティア、かわさき犬・猫愛護ボランティアの中から生まれた「かわさき高齢者とペットの問題研究会」より、ニュースレターをお届けします!
今回は、研究会が関わった実際のケース(CASE 29)をご紹介します。
悩み相談の現場で見える現実
「訪問先の2匹の飼い猫のうち、1匹は高齢でぶつかりながら歩くため傷だらけ、もう1匹は外に出入り自由でノミやダニがいる。しかも、家中に敷き詰めた新聞紙で排泄させるため不衛生。どうしたらよいか」という、ヘルパーさんからのご相談がありました。
このご相談への回答は明確です。高齢猫は疾患か認知症の疑いがあるので動物病院を受診すること、猫を屋外に出さないこと、動物病院で処方された駆虫薬を使うこと。適切なトイレを用意し、屋内の清潔を保つこと。ほかにも具体的にご助言できることはいくつもあり、実際にメンバーが飼い主さん宅を訪問しました。
解決策は明確でも...
しかし、ご本人は体調と認知機能の低下で対応できる状態ではありません。お子さんとは不仲のため、相談しようにも協力を得られないことも問題でした。 とりあえず介護者側に被害が及ばない方法や飼育方法改善の資料を作成してお渡しし、包括支援センターと協働することになりました。
周知のとおりペットは法的に飼い主の財産(物)であるため、自身の意思決定抜きに第三者が介入するには制約があります。とは言え、動物虐待に近いケースや人とペットの命に関わる事態になにができるのか、現場は苦悩します。行政と介護現場、動物福祉の立場からの議論が必要です。
豆情報:ペット防災も怠りなく
豪雨被害が頻繁に起こっています。これから台風シーズンを迎え、地震もいつ何時起こるかわかりません。あらためて、防災グッズや避難の方法などを確かめておきましょう。ペットの防災もお忘れなく。川崎市は避難所へのペットの同行避難が可能ですが、フードやケージなど必要な物資は自己責任です。
2025年9月号(49号)かわさき高齢者とペットの問題研究会通信
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