ボランティアにかかる負担|かわさき高齢者とペットの問題研究会通信2024年10月号(38号)

川崎市公認の登録ボランティア、かわさき犬・猫愛護ボランティアの中から生まれた「かわさき高齢者とペットの問題研究会」より、ニュースレターをお届けします!

今回は、研究会が関わった実際のケース(CASE 24)をご紹介します。


取り残された犬をどうする?

今回は、犬と暮らしていた独居の高齢者のケースです。飼い主さんが自宅で倒れて意識不明で救急搬送された後、数日間も犬が取り残されていると通報がありました。飼い主さんは生活保護受給者で、住まいはペット飼育不可の公営住宅だったこともあり、早急な対応が求められる案件です。

まず、役所と住宅の担当者に、親族から当研究会に連絡をいただくよう依頼し、飼い主さんの家に入る許可を取ることから始めました。親族は遠方住まいで関与は無理とのことで、次は所有権の放棄について郵送での書面を取り交わします。犬は、保護活動されているボランティアにより、一時的に保護されることになりました。


ボランティア頼りになっていないか?

さらに、犬自体も高齢だったため、親族に医療費等の最低限かかる費用として約10万円をボランティアの方の口座に振り込む同意書にサインをいただきました。幸い、その後NPO法人を通して里親希望者が現れて犬は無事に譲渡され、翌年には老衰で死亡しました。

このケースは、独居、所有権、後継者不在など高齢者のペット飼育が抱える問題を浮き彫りにしていると言えます。また、問題の解決がボランティア頼りになっていることも否めません。通常、高齢ペットの譲渡は難しく、今回は関係者の尽力によるものでした。官民協働の必要性を、改めて痛感しました。


豆情報:シンポジウムのご案内

12月14日(土)、かながわ労働プラザ(横浜市)で「共に生きる幸せ:高齢者と伴侶動物の福祉を考える」をテーマとしたシンポジウムが開催されます。この問題を研究されてきた横浜国立大学の安野舞子准教授ほかが登壇されます。詳細は次号でお知らせします。


かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2024年10月号(38号)

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かわさき高齢者とペットの問題研究会

「人の福祉」と「動物の福祉」をつなげて  かわさき高齢者とペットの問題研究会は川崎市内における高齢者とペットの問題への助言・サポートを行っています