孤独死の現場に残されたペット|かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2024年3月号(31号)

川崎市公認の登録ボランティア、かわさき犬・猫愛護ボランティアの中から生まれた「かわさき高齢者とペットの問題研究会」より、ニュースレターをお届けします。


今回は、研究会が関わった実際のケース(CASE 19)をご紹介します。


見過ごされていた命

今回は、不動産会社からご相談いただいたケースです。貸借人の高齢女性が孤独死し、現場には高齢の中型犬と、数羽の鳥が残されていました。

幸い鳥たちは健康でしたが、犬は歩行困難なほど爪が伸びるなど手入れをされていない状況にあり、癌もわずらっていました。発見時には、猛暑の中で衰弱して動けない状況だったのです。

詳細は不明ですが、警察による現場検証等が行われたにも関わらず、その場にいたペットについては申し送りなどもなく放置されてしまっていたようです。親族も引き取りを拒否し、「保健所に連れて行って」とのことでした。


命のリレーが成功

緊急事態として獣医師に診せて保護団体に連絡し、保護しました。見かねた不動産会社が、賃貸物件の残置物として親族から鳥と犬の所有権を譲り受け、鳥たちは後日、里親に譲渡されました。犬は譲渡先を探さず、飼育費用を支払う旨の契約を保護団体と締結し、所有権はそのままで保護団体スタッフの家で治療を受けながらの預かり看取りとなりました。

このケースでは、貸主の不動産会社の積極的な関与がなければ解決が困難でした。犬の命のリレーが成功したのは良かったものの、独居高齢者のペット飼育の問題を浮き彫りにした案件でもありました。


豆情報:ペット情報の登録・変更を忘れずに

ペットにマイクロチップを装着した際には登録をお忘れなく。装着しただけでは情報は共有されません。また、ペットを譲渡するなど所有者が変更された場合も、必ず変更の手続きを行いましょう。

登録先や登録の方法など、くわしくは動物病院や区の衛生課におたずねください。


かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2024年3月号(31号)

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掲載事例については、プライバシー保護の観点から個人が特定されないように配慮して構成しております。

かわさき高齢者とペットの問題研究会

「人の福祉」と「動物の福祉」をつなげて  かわさき高齢者とペットの問題研究会は川崎市内における高齢者とペットの問題への助言・サポートを行っています