病気治療中でも、ペットを飼いたい|かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2021年10月号(2号)

川崎市公認の登録ボランティア、かわさき犬・猫愛護ボランティアの中から生まれた「かわさき高齢者とペットの問題研究会」より、ニュースレターをお届けします!


今回は、研究会が関わった実際のケース(CASE 2)をご紹介します。


「犬を飼いたい」癌患者の願い

今回ご紹介するのは、70代で独り暮らしの女性です。病気の治療が決まったこの女性の願いは、「犬を飼うこと」でした。実は女性には、過去に可愛がっていた愛犬が病気でひどく苦しみ、泣く泣く安楽死を選んだという経験があり、それがずっと心残りとなっていたのかもしれません。

女性に万が一のことがあった場合、犬が取り残される可能性を考えれば、むずかしい願いであることは明白でした。でも、主治医は「現実的に可能であれば、願いをかなえてはどうか」と考えました。もちろん、それにはいくつものハードルがあります。


後継者をしっかり確保してサポート

飼い主が飼育できなくなった事態に備えて、お元気なうちから信頼できる後継者を見つけておくことが、まず大切です。幸い、この女性には弟妹がおり、犬の飼育を引き継ぐことを確約してくださいました。また、女性ご自身もしっかり生活設計を立てており、感情だけで犬を欲しがっているわけではありませんでした。

そこで、包括支援センターとも話し合ったうえで、研究会では求めに応じてアドバイスという形で、協働して飼育を支援していくことになりました。このケースは、高齢者のペット飼育の最良の着地点と言えるでしょう。


ミニ情報:日本の法律では「ペットは物」

ペットを飼っている高齢者を支援する際には、お元気(意思の疎通が可能)なうちに、万が一の際にペットをどうするかを確認しましょう。

日本では、法律上ペットは「物(固有の財産)」として扱われます。つまり、飼い主の承諾なしに、他人が勝手に譲渡したり処分したりすることはできないのです。


かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2021年10月号(2号)

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かわさき高齢者とペットの問題研究会

「人の福祉」と「動物の福祉」をつなげて  かわさき高齢者とペットの問題研究会は川崎市内における高齢者とペットの問題への助言・サポートを行っています