高齢者の生き甲斐と現実とのギャップ|かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2023年6月号(22号)

川崎市公認の登録ボランティア、かわさき犬・猫愛護ボランティアの中から生まれた「かわさき高齢者とペットの問題研究会」より、ニュースレターをお届けします。


今回は、研究会が関わった実際のケース(CASE 15)をご紹介します。


ペットの死がもたらしたダメージ

今回は、70代でひとり暮らしの女性と、共に暮らしていたペットの話です。

この女性は以前より精神疾患を患っておられましたが、可愛がっていた愛犬の死により、うつ状態が悪化、認知症の症状も現れるようになりました。そこで、ご本人が強く希望されたため、新しい犬を迎え入れることになったのです。

亡くなった先住犬に代わり、女性を癒す存在となれば良かったのですが、残念ながら状況が好転することはありませんでした。適正な飼育もむずかしく、親族とケアマネさんとがサポートに当たりましたが、女性は施設に入居することになり、残される犬の処遇が問題となりました。


早期からの周囲の協力が決め手

幸い、入居した施設の関連事業所が、女性の精神面を考慮して犬の飼養を申し出てくれました。また、親族が女性の後見人となったことで、資産から飼育費用を支出するなどスムーズに事を進めることができたのです。

女性は愛犬と面会もできましたが、認知症が進行し、やがてその存在さえも忘れました。関係者による話し合いが行われ、里親希望者も現れたため、犬は新しい飼い主の元に譲渡されることになりました。

ペットは高齢者の生き甲斐となる一方、不適切な飼育、喪失がもたらす影響という問題を抱えます。このケースでは、早くからの見守りとペット管理の移行で、良い結果となりました。


豆情報:ペットの食事に注意

梅雨時は、食中毒の発生が心配です。食中毒は人間に限ったことではありません。食べ残しが放置されていたり、飲料水が取り替えられなかったりなど、ペットにとっても危険がいっぱい。虫がわくなどの問題もあります。ペットの食事も、ふだん以上に気をつけましょう。


かわさき高齢者とペットの問題研究会通信 2023年6月号(22号)

PDF版はこちらをご覧ください


掲載事例については、プライバシー保護の観点から個人が特定されないように配慮して構成しております。

かわさき高齢者とペットの問題研究会

「人の福祉」と「動物の福祉」をつなげて  かわさき高齢者とペットの問題研究会は川崎市内における高齢者とペットの問題への助言・サポートを行っています